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 導入事例

「もう紙には戻れない」|急性期病院での1年間の変化

病院概要
座間総合病院

https://zama.jinai.jp/

看護副部長 中屋 恭子 様
看護係長 山下 美穗 様
看護係長 山田 京子 様

神奈川県座間市にある座間総合病院は352床の急性期病院です。手術目的での入院も多く、病床の回転が非常に早い環境にあります。
今回は導入を推進し、運用の中心に立つ看護師様のこれまでとこれからを伺いました。

導入前は抵抗があった

導入前の課題や現場の負担を教えてください。

中屋様: 診療報酬の改定のたびに帳票の数がどんどん増えていく、という状況がありました。特に入院になるとどんと帳票が増えますよね。また各種調査や機能評価のたびに、その業務がさらに増えていく。こうした業務を少しでもスリム化したいという思いは以前から持っていましたので、このシステムの導入は良い機会だと感じていました。


山田様: 当初、病棟では入院受け入れから看護実践に移るまでの間に、事務的な初期業務だけで45分から60分ほどかかっていました。この業務が残務として残ってしまうことも日常的にあって。正確な調査というより体感的なものですが、早いときでも45分程度はかかっていましたね。
あとは、外来との連携も課題に感じていた時期でした。外来に入院予定の患者をフォローするブースもなかったので、どのように連携していくかという点や、さまざまな委員会で書類がどんどん追加されていくという状況もありました。チェックリストやアセスメント指標も増える一方で、負担を実感していました。ちょうど病棟としてトライしやすい環境が整っていたこの終わりのない業務負担の日常をどうにか断ち切りたいと思っていました。良いタイミングだったと思います。

導入すると聞いたとき、現場の第一声はどんな感じでしたか。

山田様: 最初は「なんだろう…。」でしたね(笑)。また業務(覚えること)が増える!!大変だけどなんとかこなしているので他に変えたくない。めんどくさい等、スタッフの強い反発や不安や、私自身も新しい操作への不安と忙しい現場での移行の難しさを感じていました。

山下様: 最初は抵抗感しかありませんでしたね。新しいことを始めること自体への抵抗もありました。でもやることのメリットが明確にわかるようになって、そうしたら推進の風土も作りやすくなりました。みんな頭で何かを理解するより、手を動かして慣れていくほうが早かったですね。「なんだ、言うほど難しくないじゃん!」って。

中屋様: 看護に直結していない作業だと感じてしまいますし、用紙を貼り付けるという作業自体がまず負担に見えるんです。新しいことっていうだけで。
でも、特に新入職のメンバーはDXに抵抗なく馴染んでいけたので、そういう人からスッと馴染みましたね。

導入後:業務の「順序」が逆転した

導入にあたって、進め方に工夫されたことはありますか?

山田様: チームでは丁寧にフローを作り、チラシも理解度を見ながら何度も作り直しました。見て理解する、動かしてわからなくなる、フローに戻る、それでもわからなければ声をかける、という三段階の設計でしたね。
あとはスタッフから出るわからないことへの対応もチームでスピーディーに対処していきました。地味な積み重ねですが、現場を孤立させない最優先のサポートをしていこうとチームで少しでも「業務を楽に」の思いで取り組みました。これが効いたと思っています。

山下様:その病棟内で分かる人がいなくても、別の病棟で分かる人がいればその人がフォローしたり。
また、委員会やチーム会など、さまざまな部署の管理者が集まる場で、その都度お伝えしていました。「このように進めてください」とお願いしたり、「screeについて困っていることはありませんか」と確認したり。
あちこちで繰り返し声をかけながら、現場でこういう取り組みが進んでいるということを、上の立場の師長の方々にもわかるように伝えていましたね。

中屋様: 人選です。発信力があり、急性期のメンバー2名にお願いしました。まず一番混乱している急性期病棟から手をつければ、他の職員も「自分たちもうまく使おう」と主体的に動いてくれるだろう、という狙いでした。外来との橋渡し役には外来で動いてくれている救命士1名にもお願いしましたね。

山田様: 周知は本当に徹底しました。役職者の会議の場でも取り上げていましたし、委員会、チーム会と、機会があるごとに繰り返し伝えていました。一度言って終わり、ではなく、しつこいくらい何度も、というのがポイントだったと思います。今のところ、反発はあまり聞こえてきていません。

最初の1〜2か月は、うまくいかないこともあったそうですね。

山田様: ありましたね。「自分はもう十分早くできている」というベテランの声もありましたし、外来では「やりたくない」「そんな時間はありません」とはっきり言われたこともありました。それでも「せめてアナムネだけでも」と粘って、チームでミッションをやり遂げようと協力し合いました。

山下様:反発があったときは、関係性のあるメンバーから「screeを成功させるには皆さんの協力がキーポイントです」「あなたの力が必要です」というメッセージをあらかじめ用意して伝えるようにしたり。手順も全部用意して、余計な時間はかからないというのがちゃんと伝わるようにしました。今振り返ると、よく考えていたなと思います(笑)。

山田様: そこは戦略的に工夫していた部分ですね。あと、「1分だけお時間をください」というフレーズをよく使って声掛けしていました(笑)。「1分だけ」と言われると、みなさん意外と聞いてくれるんですよね。そこで「こうするとこういうメリットがありますよ」とお伝えする。本当にそれだけなんですが、効果はありました。1分の説明を加える。その1分の先にあるメリットを具体的な未来像として伝え続けました。

半年以上が経過した今、現場の景色はどう変わりましたか?

山田様: かなり変わりましたね。45分から60分かかっていた業務が、今では数分レベルです。「後でやればいい」「10分もかからず終わる」という感覚に変わりました。やろうか?と聞かれても「大丈夫です、貼り付けるだけですから」って、今ではみんな軽く言うようになりました。本当にすぐ終わるから(笑)。
患者さんへの説明もスムーズです。「無理だろう」と思っていたのに、みなさん問題なく入力してくださって。看護師のほうが先入観で「フォローしなきゃ」と思い込んでしまうことも多いんですよね。

山下様: 業務の順序自体も逆転したんですよ。以前は書類作業を先に済ませてから患者対応でしたが、今は患者対応をすべて終えてから、最後にscreeの情報を貼り付けるだけで完結します。追加で聞き取ったことがあれば軽く追記したら終わり。しかも今は外来や患者サポートがほとんど済ませてから病棟に上がってくるようになっています。そのおかげで早い看護実践に繋がっていますね。
実は私自身、ちょっと抵抗感があって消極的だったんですが(笑)。でもそれはわからないからで、わかるようになったら納得感が生まれて、思ったより簡単じゃんと。

中屋様:紙の使用量も1人あたり11枚減りました。月あたり約300件の入院件数で考えると、かなりの量です。
この1年の積み重ねは、近く看護管理学会でも発表する予定です(笑)。

山田様: 外来との連携では救命士が活躍してくれました。患者サポート部門と外来への導入が「一番大変だった」と本人も言っていましたが(笑)、率先してトライアルを引き受けて、各部署の調整に走り回ってくれました。「今日はこの件についてお願いします」と、任せきりにせず自分で足を運ぶ姿勢が、外来側の「余計な業務が増える」という抵抗感を少しずつ解いていったんだと思います。

紙を物理的に撤去されたと伺いました

山下様: 紙があると、どうしてもそちらに手が伸びてしまうんですよ。ですから切り替えの日に、各病棟の紙を一斉に撤去して回りました。停電など非常時用に一部だけ残して、あとは書けない状態にしたんです。強制的にタブレットを使うしかない環境をつくりました。ただ、各病棟に依頼して事務の方に撤去をお願いするという調整自体は、本当に大変でした。

山田様: 現場の声を聞きながら進める部分と、トップダウンで「とにかく進める」部分。その両方が必要でしたね。今より絶対楽になるから!大丈夫!こうするといいよ、って。

今後のビジョン

今後、さらにどんなことを実現したいですか?

中屋様: 身長・体重やアレルギー情報など、まだ残っている転記作業をなくしたいですね。それからリハビリテーション部門・栄養課への展開。実はリハビリ側からも「screeについて教えてほしい」という声が上がっているんです。外来問診票とscreeの自動連携も実現できれば理想的です。

山下様:入院時の情報が自動で反映されて、看護計画まで提案してもらえるようになれば、と考えています。

最後に、もし今、以前のやり方に戻るとしたら?

山下様: それは嫌ですね(笑)。
山田様: もう戻れないと思います。以前のような貼り付け一つで済む作業ではなく、また一つひとつ手入力でエクセルに打ち込む作業に戻らなければなりませんから。あの作業は本当に大変でしたので、戻るとなると、しんどいですね。

導入を考えている方へメッセージ・アドバイスをお願いします。

中屋様: 推進する人の人選とその人や部署を巻き込むこと。これが近道になります。
山下様:アナムネがDXされる。紙を使わなくて良くなって、それ自体が無駄な時間削減になります。
山田様:手間を減らしてくれる。後回しにしないから業務負担も減る。「たった5分ではなく、その5分がどれだけ大変だったかを理解することが、一番大事」。上の立場の人間が「5分でもいいから、今、現場を楽にしてあげよう」という思いを持つこと。それが大切だと思っています。

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