浅ノ川総合病院様

病院概要  
・医療法人社団 浅ノ川総合病院(400床~)
 https://www.asanogawa-gh.or.jp/ 
・看護部長 柳美知代 様
・東館7階病棟師長 井川真弓 様

入院業務の中でも、看護記録と患者さんとのやり取りに多くの時間がかかっており、看護師の業務負担について課題を感じていらっしゃった浅ノ川総合病院様。 scree導入後、どのように現場で活用されているのかについて、今回、柳看護部長・井川師長にお話を伺いました。 

① scree導入の背景  

―― screeを導入した背景を教えてください。  

柳看護部長: 入院業務にかなり時間がかかっている現状は前から分かっていたので、その中で業務を少しでも楽にできる方法を考えていました。特に看護記録と患者さんとのやり取りで時間がかかっていたので、ITを使って改善できることを模索していました。 

2年くらい考えていた中で、当時の看護部長とメディカルギークの代表が知り合いになったことがきっかけで、screeを導入してみようと思ったんです。看護師の業務負担の軽減が一番の目的です。   

② サービス導入の効果  

―― 導入して半年経ちますが、効果はどうですか?  

柳看護部長: 予約入院の患者さんにはほぼ100%、即時入院、緊急入院でも80%は使用していますね。使い勝手については今後も継続的な調査が必要ですが、これだけ使用されているのを見ると効果は出ていると思います。 

―― 現場での使用感はどうですか?  

井川師長: 最初はあまり使われていない感じでしたが、今では緊急入院、予約入院でほぼ使われています。 

入院が来たら、担当以外の看護師が「とりあえずscree入れておくよ」と言ってくれるので、その間に担当看護師は別の仕事に集中できます。最終的には担当看護師が確認しますが、既にほとんどの患者情報が入力されているので、あとは細かい部分を追加するだけで済みます。 

元々は看護記録の仕上げこそ担当看護師の仕事でしたが、screeを導入してからは外来でも誰でも入力ができるようになりました。このタスクシフトのような運用が非常にありがたいです。 

一から質問して全て入力する作業は、これまで担当看護師以外は誰も手が付けられない業務でした。でもscreeを使うようになって、看護師同士が分担し、screeで問診をとり、処置を行い、看護記録を入力するようになりました。そして最後に担当看護師が記録の追加修正を行う、という流れがスムーズに進むようになりました。 

看護師たちの間で業務の分担ができるようになり、担当看護師が全てを一人でやらなくても良いという雰囲気になりました。 

柳看護部長: 問診自体も5分くらいで終わるようになりましたね。  質問の中で、患者さんによって重点的に聞くポイントを押さえることが重要です。 

患者さんによっては家族の背景や介護度、日常生活活動(ADL)など、特に重要な情報をしっかりと把握する必要があります。それ以外の情報は、screeを使って簡潔に入力するだけで良いという風に振り分けられるようになったのが良かったです。 

業務量調査でも、記録にかかる時間が約20分、 トータルの入院にかかる業務量も約40分程短縮されているという結果がでています。この20分、40分は本当に大きいです。  

③ 導入までの課題

―― 導入準備の過程で大変だったことや、周りの反応はどうでしたか?   

柳看護部長: 導入前の不安はタブレットの操作を患者さんができるかどうかでした。もし誰かがタブレット操作のフォローに入らなければならなかったら、業務量が増えるだけじゃないかと心配していました。でも実際に使ってみると、意外とスムーズに使えていました。  

井川師長: 特に若い患者さんはすぐに使いこなしていましたね。少し認知症のある方でも、聞きながらポチポチと入力できるので、紙に書くよりもスムーズでした。  

柳看護部長: 施設の職員も意外と慣れていて、スムーズに入力してくれました。高齢の職員でも問題なく使えていましたね。  

井川師長: ただ、最初は周知徹底が弱かったことが影響して、院内の看護師に浸透するまでに時間がかかりました。外来ナースは結構使ってくれていましたが、病棟ナースへの周知が十分ではなかった気がします。  

④ screeに対する期待や新たな活用のイメージ

―― 今後のscreeに対する期待や新たな活用のイメージはありますか? 

柳看護部長:外来と病棟の連携をもっとスムーズにしたいですね。screeを使って入院前に必要な情報を入力してもらえるとさらに業務改善に繋がります。スマホからでも事前に入力できるようになれば、さらに便利になると思います。    

井川師長:新しいシステムに対する心配もありましたが、実際に使ってみるとその便利さが分かってきました。今後も使いやすいシステムにしていくために、現場の意見を反映していきたいです。 

柳看護部長:あとは、アセスメント機能があったらいいなと思います。「ここに問題がある患者にはこういうところに気を付けなければいけない」ということが事前に分かれば、それを看護師がアセスメントする際に見直してケアに反映するということができます。そうすれば、もっと便利になりますよね。 

最初は、アセスメントまで機械が行うと看護師自身の考える力が低下するのでは、と懸念していましたが、それよりもまずは記録を書かなきゃいけないのが現状です。だから、ざっくりとしたアセスメントをscreeで行い、あとから個別性を追加していけばいいかなと思います。

⑤ 弊社との連携

―― 弊社とのやり取りの中で印象に残っている点はありますか? 

柳看護部長: メディカルギークの良いところは、臨機応変に対応してくれたことです。「この病棟でこういう情報を追加して欲しい」という要望にすぐ対応してくれました。システムのトラブルが起こった時もすぐに対応してくれたので、現場が困っていてもすぐに解消されました。それは現場でも安心感がありました。

⑥ 今後の看護部としての展望

―― 今後の展望について教えてください。  

柳看護部長: 今の電子カルテシステムは、看護診断や看護計画を一つずつ選んで立てるので、作成に時間がかかります。その結果、看護師がベッドサイドで患者に対応する時間が減っています。 

記録の質は重要ですが、記録に時間をかけても看護の質は向上しません。 

今後は、機械に任せる部分を増やし、記録に関して看護師は監査するくらいの感じになるといいですね。そして、実際に行っているケアこそ、きちんと記録として残していきたいです。 

また、診療報酬改定ごとに記録が増える一方で、看護師自身が独自にテンプレートを追加し、自ら業務負担を増加させてしまうケースもあります。なので、本当に必要な記録だけ行えるよう整理し、やりたいことができているという充実感に繋がるようにしていきたいです。